発注者が経験年数を重視する理由

2011.08.05

発注者が経験年数を重視する理由は、次のとおりだ。翻訳では希望者や応募者の実力を評価するのは容易ではないのだ。実力を簡単に評価できるのであれば、経験年数などにこだわることはない。試験をして、実力のある者を選べばいい。だが、発注者が翻訳の質を評価できるとはかぎらない。自分では翻訳の経験はないし、翻訳について考えたこともなかった人が、たまたま仕事の都合や人事異動の結果、翻訳発注を担当するようになった場合も多い。自分で翻訳を評価する自信をもてないのであれば、他人の評価に頼ろうとするのは当然だ。翻訳経験があれば、どこかの発注者に実力を認められたと想定できる。経験年数が長ければ、何人もの発注者に実力を認められてきたはずだ。だから、一応は安心して依頼できる。もちろん、この想定には危険もある。ほんとうに実力があり、ほんとうに他の発注者に高く評価されているのであれば、大量の仕事をかかえているはずであり、新たな仕事を探そうとするはずがないともいえるからだ。しかし、ほかに頼れる基準がなければ、経験年数を重視するしかない。それだけではない。翻訳者として、あるいは編集者として長く活躍してきた人にとっても、翻訳者の実力を評価するのは容易ではない。